県央児童家庭支援センター研修会(H29年10月10日)
2017/12/27

10月に実施した当センター研修会に多数のご参加ありがとうございました。研修会の折にたくさんの質問をお受けしたのですが、時間の都合上、対応できなかったご質問も含めて講師の先生(ヘネシー先生)よりメッセージが届いてますので、どうぞ下記をご確認ください。


10月10日の講演の質問のお答え。
保護者の感情管理
質問
スライド20ページのVIIについて。
二次的感情に対しても同じコースを繰り返してみると言ったところが良く分からなかったので教えてください。
お答え
図1をもう一度見てください。Bで感情を引き出す出来事が起こりました。Aの所で、貴女の過去や、現在の体験で、この出来事に対して、とても傷つきやすくなっていらっしゃるとします。それでこの出来事が他の人にとってはなんでもないのに、貴女にとっては許せないことかもしれません。それであなたの脳から血が引いてしまって、体が震えて、行動としては大声で叱ってしまいました。それで、Fの所で、貴女は自分の感情は「激怒」だったと名付けます。でも、その余波として、何かとても恥ずかしくて、自己嫌悪に陥ってしまいました。でもこの余波はあなた独特のものかもしれません。それで図1を使って、もう一度検索しましょう。二次的感情は「恥」ですね。Aに戻って、貴女は親から「大きな声で、女の子が怒鳴るのはみっともないことです。」としつけられたかもしれません。だから、あーみっともないことをした。両親に申し訳ないとお思いになるかもしれません。それで自己嫌悪に陥ってしまう。このように自分の感情を検討して、それがどこから来ているのかが分かると、まず第一の感情の表現を調節でき、恥や自己嫌悪を抑えることが出来ます。これが感情の管理です。お判りですか?

先天的と後天的発達障害について

最初の質問:ASDに絡んだ二次障害の相談が多いです。そこに反応性愛着障害もからんで、母親に子どもに対する拒否感が形成されている場合が多くあります。支援に苦慮しています。どんな支援を考えたらいいでしょうか?

お答え
もし子どもにASDの一つの診断が下されていて、それが本当である場合、遺伝が絡んでいます。それが父親の家系からか、母親の家系からかで、母親の気持ちも複雑でしょう。例えば乳児自閉症の子どもですと、親と目を合わせてくれないなどで、親との愛着が良く結ばれず、愛着障害も絡んでくるかもしれませんね。もし本当のASDの一つの場合、まず支援として、子どもの言語訓練・OTとPTによる感覚の統合の訓練などをすすめ、親の関りで子どもが出来る限りのスキルを身に着けることの大切さを教えてあげてください。このような子どもたちは、親が安全と安心の基地になってくれると、愛着の形成ができます。その表現は普通の子どもと違うかもしれませんが、親がいないときの不安な状態を見ると、いかに親といて、安心しているのか分かります。
もし診断が、雑で、愛着障害をひっくるめて、ただ「発達障害」という診断なら、母親の話をじっくり聞いて、母親の拒否感がどこから来たか、一緒に考えてあげてください。その拒否感が、子どもの愛着障害の原因かもしれませんから。アメリカでは、このような子どもを持つ親には、必ずメンタルヘルスのセラピストがついて、親の疲れに共感し、子どものトレイニングのプログラムがうまく行っているか、親と他のセラピストの間に入って、訓練がスムースに行くように支援します。
二つ目の質問が、「ASDの5つの形について教えてください。」でした。
お答え
パワーポイントのスライドをもう一度ご覧ください。それとそのあとのスライドに色々な支援の仕方が書いてあります。


質問:遺伝の「発達障害」という先生の言葉について
  日本社会は古くから障碍者は健常者と差別される傾向がありました。近年でも障害は遺伝であるという概念が強く、障害児を産んだ母親は離縁されることが多かったようです。なので、障害児は母子家庭がおおく、家庭環境もとてもきびしいもので、治療を受けられる状況ではなかった歴史的背景があります。
  ところが最近小児学会で、「発達障害は遺伝性の病気ではない」という論文がはぴょうされました。保育師である私にはどちらの説が真実に近いか全くわかりませんが、「自分のせいで、わが子が障碍者になった」という母親の負い目を大きく軽減し、前向きに障害という病気と取り組んでいけるようになっていくには公社の方が希望が持てるのではないかと思っています。
お答え
まず言いたいことは障害は病気ではありません。それに「発達障害」というのは日本で独り歩きしている「診断名」であると申しました。色々なものをひっくるめてこの診断名を付けるので、治療や訓練が行き届かないのです。そういう雑な診断名での論文では、もちろん遺伝であるものと、遺伝でないものも全部はいっているでしょう。
  私の講演は、これをもっと科学的に診断して、きちんとした診断名を付けて、これから訓練するか、治療をするか、それもどのような訓練が必要で、どのような治療が必要がしっかり専門家から指示されることが大切だともうしました。
 まず先天的な障害のパワーポイントを見てください。自閉症スペクトラム(帯)障害(ASD)や、遺伝的なADHDや、知的障害が書いてありますね。ASDは、80%遺伝です。(80%というのはデンマークでの研究で、今年の初めに発表されました。) 特に乳児自閉症の場合、遺伝子の一部がごっそり抜けているそうです。これはボストンのMIT大学で遺伝子の研究をなさっている、吉井聡博士からお聞きしました。他の原因には環境汚染があります。
 知的障害の原因はいろいろあり、遺伝もあり、母親が妊娠中に放射能を浴びたり、ダウン症の子どもの場合、母親が35歳を過ぎてからの妊娠で、卵子が古くなっているか、父親が70歳以上で、精子が矢張り古いのが原因だと研究で発表されています。
 このように先天的な障害の場合、父親の家系と母親の家系を詳しく調べて、親戚に同じような子どもか大人がいるかを聞き取っていくと、大抵どちらの家系が問題かが分かります。これはその家系を「責める」ためでなくて、今遺伝子をどのように改良して、この障害を取り除くかが研究されているからです。
 保育士として貴女が出来る事は、このようなお子さんへのスキル訓練(言語訓練、感覚統合訓練など)を勉強して、両親に教えて、家庭と保育園で実践することです。親たちは、自分の子どもの成長の一端を担うことで、罪悪感を乗り越えることが出来ます。
 後天的な発達障がいとして、愛着障害を紹介しました。これは遺伝ではなく、子育ての問題で、治療が効きます。もちろん子育ての仕方は世襲しますので、愛着をしっかり形成できる、親が安心・安全の基地である子育ての支援が必要になりますね。
愛着について、沢山の質問がありました。今月はこの3つの質問にお答えして、来月には愛着についての質問をまとめて、お答えします。
平成29年12月    シドニーに向かう船中にて  ヘネシー澄子